家計を助けるため、2年前からスーパーのパートで働いていたK・Eさん。結婚から20年以上の間、病気らしい病気をしたことがありませんでしたが、ある夜、足にちりちりするようなかゆみを感じました。見たところ特に異常はなく、しばらくかいていると、かゆみは治まってしまいましたが、その後も次々と異変が現れます。 「むずむず脚症候群」とは、足首から腿にかけて「むずむず」「チクチク」といった異様な感覚が生じ、じっとしていられなくなる病。症状が悪化すると睡眠障害からうつ病を招き、最悪の場合、自殺する人もいる恐ろしい病気です。40歳以上の人が多く発症し、症状の軽い人も含めると、国内だけで実に200万人近い患者がいると言われています。でもなぜK・Eさんは、この病に冒されてしまったのでしょうか?残念ながら、発病のメカニズムは、はっきり判っていません。ただ大きな要因と考えられているのが、体質と食生活です。K・Eさんは、もともと貧血気味でした。しかもほうれん草やレバーといった鉄分を豊富に含む食べ物が苦手。そのため、慢性的に鉄分が不足していました。そう、この鉄分不足が、K・Eさんの全身の神経に異常をもたらしたのです。人間の神経で情報の受け渡しを行うドーパミンという物質は、鉄分が不足すると分泌量が減り、情報を正しく伝えることができなくなってしまうのです。K・Eさんを襲った、あの奇妙な感覚の数々。それはすべて脳への情報が誤って伝えられたせいで起きた、足の感覚異常だったのです。一方、「足が勝手に動く」という症状は、逆に脳からの指令が誤って足の筋肉に伝わり、勝手に動いてしまったものでした。また症状が夜間に集中したのは、夕方から深夜にかけてドーパミンの分泌量が低下するため。屈伸すると症状が治まったのは、身体を激しく動かすことで一時的にドーパミンの分泌量が増えたためだと考えられます。そして、この病気の最も恐ろしいところは、症状の悪化に伴う睡眠不足と過度のストレスから、本人も気づかないうちに「うつ病」になってしまうこと。K・Eさんも、このうつ病が悪化。発作的に自らの足を切り落とそうとしてしまったのです。幸い彼女の場合、不足した鉄分を補うことで、4週間後には元の生活に戻ることが出来ました。実は、むずむず脚症候群はまだ、医師の間でも十分に認知されていないのが現状です。だからこそ、疑わしい症状が出た場合は睡眠障害の専門医を訪ね、自ら病名をアピールすることが大切なのです。
[ 307] 最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学 診察室バックナンバー
[引用サイト] http://asahi.co.jp/hospital/shinsatsu/050524.html
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