稀に「アナタの一番好きな映画は何ですか?」と問われることがあるのですが、ある程度以上の本数を観ている良心的な映画好きが大抵そうであるように、私もやはり返答に窮してしまいます。何でも直ぐに順序を付けたがる世の中の風潮に反撥しているというわけではなくて、単にその範囲が広過ぎる、一口に「映画」といっても色々なジャンルがありますし、また「好き/嫌い」を分けるものが作品の優劣や世間一般的な評価と必ずしも一致するものでもないのは言うまでもないこと、要はその設問自体が些か莫迦げているのです。例えば「ヴェンダース監督の黒白作品の中で一番好きな映画は?」と問われれば、間髪を入れず『都会のアリス』と返答するでしょうし、「フェリーニを除くイタリア映画の中で一番好きな作品は?」という設問なら、多分少し考えてからエットーレ・スコラ監督の『あんなに愛しあったのに』の名前を出すでしょう。しかし、だからと言って、『都会のアリス』や『あんなに愛し合ったのに』が、私にとって「その程度の映画」というわけでは決してなく、それらを導いた設問ならそれらの名前を出し易い、大仰に言えば、良心の呵責を回避できるということなのです。
[ 79] 星降る夜のリストランテ
[引用サイト] http://kermit.pos.to/film/010325.html
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